患者トラブル対応

患者トラブル対応

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 医療機関は、患者トラブルが発生やすい環境です。

 また、そのトラブルを放置しておく傾向にあり、事が大きくなって、収集するのが難しいことが多いです。

 とにかく素早く対応して、問題を悪化させないことです。

 これは病気の治療と同じことと思いますが、いかがですか?

 トラブルが発生したままでは、患者が離れていきます。

 スタッフもトラブル対応に嫌気がさして、休職・退職という事態になりかねません。

 トラブルには、素早く毅然とした態度で取り組んでください。

事例-1-1 男性の高齢入院患者の粗暴な態度

暴力

〇患者 70歳代、軽度の認知症、家族関係は良好

〇状況 入院後、徐々に悪化看護師や看護助手に対し

    ・大きな声でどなる

     「早くしろ」「痛い、痛い。」「警察に通報する」

    ・杖で威嚇する

     近づくだけで、杖で威嚇する。

     気の弱いスタッフが狙われる。

     車いすでの移動時に杖を預かったが、こぶしを振り上げて威嚇した。 

事例-1-2 男性の高齢入院患者の粗暴な態度(対処法)

パワハラ セクハラ

①物理的暴力手段をなくす

 杖の必要のない時は、杖はスタッフが預かる

 近づく時は適正な距離をおく

②警察と事前に連絡を取り合う

 警察の生活安全課などに状況を説明し、暴力事案が発生した際は、来てもらう

③管理者(男性)が暴力は許さないことを伝える

 場合によっては、警察を呼ぶことを伝える

④担当スタッフを固定する

 “強い物言いをしないスタッフ”をみつけて粗暴な行為を行うので、そのスタッフ以外のスタッフで対応

⑤複数人で対応

 マンツーマンにならないよう、常に気を配る。

 部署内で応援体制をつくる  

事例-1-3 男性の高齢入院患者の粗暴な態度(患者・職場分析)

対処

①高齢認知症患者(男性)

 認知症により、過去は穏やかな性格だった方も豹変することがある

 認知症でなくとも、過去に会社組織で多くの部下がいた方や家庭内で妻や子供に強く当たっていた方は要注意

 (家族関係はよく確認しておく) 

 対スタッフのみならず、他の患者へ危害を加える可能性も考慮する

②職場

 認知症患者の経験があるスタッフばかりではなく、他の患者と同様の対応を行っていた。

 面と向かって、患者に注意するスタッフがいなかった。

 (担当にあたりたくない。面倒は避けたい)

事例-2-1 診療内容に納得せず支払いしない患者

クレーム

〇患者 80歳代、女性。心疾患。

    外来で長年受診している(主治医)。実娘が付き添い。

〇状況 他の医療機関の治療と違うため、治療方針に納得せず支払いしない。

    娘が会計担当者に「治療方針に納得しないので、支払わない。」その後、看護師が説明したが納得しない。

    医師は他の患者の診察で忙しく、時間が取れなかったため、当日は、未払いのまま引き取ってもらった。

事例-2-2 診療内容に納得せず支払いしない患者(対処)

パワハラ セクハラ

①治療方針に納得しない理由は何か聞き出す

 当日は看護師が対応したが、十分な話が出来なかった。

 治療方針の違いが本当の原因であるか聞き出す。

②懇切丁寧な説明

 気持ちの落ち着いた別日に医師の治療方針を時間をかけて説明する。

③診療をした医師に状況を確認する

 どのような治療方針であったのか、診療の内容は。

 その際に娘は付き添いで来ていたのか。

事例-2-3 診療内容に納得せず支払いしない患者(患者分析)

対処

①患者

 患者自身は主治医の治療方針に納得しており、支払いをしないという、娘の考えに賛同できずにいた。

②患者の娘

 患者のことを心配し、付き添いで来ているのに、いつも忙しそうできちんと話を聞かない主治医に腹を立てていた。

 そこに他の医師の診療を受け、診療方針の違いから疑念をもって、支払いを拒否した。

 実は、他の医師も診療方針が違うわけではなく「〇〇の検査を受けてみたらいかがですか」といった言葉を投げかけただけであった。

 患者の娘が、その検査をこれまで一度も受けさせない主治医に対し、不安感を持ったことと重なった。

関係者に確認し、患者と話す時間を持つことで解決することは多いです

事例-3-1 女性スタッフへのセクシャルハラスメント

クレーム

〇患者 70歳代、男性。右腕の骨折で入院中。

〇状況 女性の看護師に対して

    「ねーちゃん。着替えたいから手伝ってくれ!」

    と大声で呼び、看護師が近づくと抱き着こうとする。 

    都度、看護師長が注意するも、反省の色は見えない。

    男性看護師に対しては、悪態をつく。

    医師や看護師の指示に従おうとしない。

事例-3-2 女性スタッフへのセクシャルハラスメント(対処)

パワハラ セクハラ

原則として、暴力事案と同じです

①担当看護師を男性に変える

 セクハラを受ける看護師を担当から外し、別の看護師に担当してもらう

②警察と事前に連絡を取り合う

 警察の生活安全課などに状況を説明しておく。

③管理者がセクハラは許さないことを伝える

 場合によっては、警察を呼ぶことを伝える

④患者家族に出来事を説明

 患者の実の娘へ連絡し、起きたことを伝える。

 まずは、家族から諭してもらう。

 改善が見込めない場合は、退院を含め検討することを伝える。

事例-3-3 女性スタッフへのセクシャルハラスメント(患者分析)

対処

①患者

 患者は、前年に妻を亡くしており、寂しさもあったようだ。

②家族

 患者の実の娘に事情を話したところ、すぐに病室の患者の所へ行き、2時間以上注意されていたようだ。

 その後、改心し男性看護師への悪態もなく、スタッフの指示にも素直に従い退院した。

まとめ

最も大事なことは、放置しないことです。
「時間が経てば解決する」ということはほとんどありません。
ほとんどのケースで、状況は悪化し時間的、経済的な損害を被ります。
誰に影響があるのか
・他の患者
・患者当人
・対応するスタッフ
・その他のスタッフ
長引かせると、悪評しかたちません。
それは新たな患者獲得に影響を及ぼし、取引先や業界へも波及することがあります。
トラブルは早期対処で早期解決。被害の少ないうちに解決しましょう。

早めに対処することが、最終的には被害が少なく済みます。

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