潜在GDP拡大につながる成長投資は新規性に欠け
7日、日本政府は経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の原案を公表しました。この方針は、賃上げ促進と少子化対策を中心に、「分厚い中間層」の再構築を目指すものです。家庭の資産運用を後押しし、成長と分配の好循環を実現することが狙いです。しかし、脱炭素やデジタルなどの成長投資は新規性に欠け、経済の底上げには力強さが不足しています。
原案は、長引くデフレ圧力と国内需要の停滞、労働者の賃金抑制という日本経済の悪循環を断ち切ることを目指しています。具体的には、全国加重平均で最低賃金を1000円に引き上げる目標を掲げ、中小企業が労務費を価格転嫁しやすいようにするための指針を年内に作成する予定です。
また、少子化対策として、2030年代初頭に4.7兆円の子ども家庭庁予算を倍増する方向性が固まっています。これにより、児童手当の拡充や育児休業給付金の増額を通じて、子育て資金に厚みを持たせることが期待されます。
一方で、家計所得は長期低迷が続いており、19年の世帯所得の中央値は課税後ベースで374万円と94年から25%減少しています。このため、子育て資金や賃上げ、資産運用などを通じて家計を底上げし、消費や設備投資の伸びを支えることが求められています。
しかし、全体を通じて見ると、潜在GDP拡大につながる成長投資は新規性に欠けています。特に、脱炭素投資やデジタル産業戦略などは、具体的な追加計画がない状況です。このため、所得の底上げが成功したとしても、経済成長が伴わなければ、前向きな将来像を描くことは難しいと言えます。
まとめると
項目 | 内容 |
---|---|
基本方針 | 賃上げ促進と少子化対策を中心に、「分厚い中間層」の再構築 |
成長投資 | 脱炭素やデジタルなど、新規性に欠ける |
賃上げ促進 | 全国加重平均で最低賃金を1000円に引き上げる目標 |
少子化対策 | 2030年代初頭に4.7兆円の子ども家庭庁予算を倍増 |
家計所得 | 長期低迷が続き、19年の世帯所得の中央値は課税後ベースで374万円と94年から25%減少 |
成長投資の問題点 | 脱炭素投資やデジタル産業戦略など、具体的な追加計画がない |
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