実施事業場の約81%が労働基準関係法令違反
厚生労働省は、令和4年度に⾧時間労働が疑われる事業場に対して
労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめ、
監督指導事例とともに公表しました。
令和4年度の監督指導実施状況のポイントと主な監督指導事例を確認しておきましょう。
●令和4年度の監督指導実施状況のポイント
令和4年4月から令和5年3月までに、
33,218 事業場に対し監督指導を実施し、
26,968 事業場(81.2%)で労働基準関係法令違反が認められた。
<主な法違反>
・違法な時間外労働があったもの→14,147 事業場(42.6%)
・賃金不払残業があったもの→3,006 事業場(9.0%)
・過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの→8,852 事業場(26.6%)
●主な監督指導事例/倉庫業に対して行われた監督指導の事例
倉庫業の事業場(労働者約100 人)で勤務する労働者からの、
⾧時間労働の実態があるという情報に基づき、立入調査を実施。
1.倉庫内で商品の仕分けを行う労働者11 人について、
業務量に比して人員体制が不十分であったことから、
36 協定で定めた上限時間(特別条項:月79 時間)を超え、
かつ労働基準法に定められた
時間外・休日労働の上限(月100 時間未満、複数月平均80 時間以内)を超える、
最⾧で1か月当たり201 時間の違法な時間外・休日労働が認められた。
……労働基準法32 条違反及び36 条6項違反で是正勧告
2.また、常時50 人以上の労働者を使用しているにもかかわらず、
労働者に対して心理的な負担を把握するためのストレスチェックを実施していなかった。
……労働安全衛生法66 条の10 違反で是正勧告
上記で紹介した監督指導事例は極端な例かもしれませんが、
月 80 時間を超えるような時間外・休日労働が常態化している場合、
過労死等のリスクが高くなり、
労働基準法に規定されている時間外労働の上限規制に抵触するおそれもあります。
また、労働安全衛生法で常時 50 人以上の労働者を使用している事業場に義務付けられている
ストレスチェックについても、実施を怠っていると指導・勧告の対象となります。
企業が遵守すべき労働基準関係法令のルールは多々あります。
違反がないか、定期的にチェックしておく必要があるでしょう。
不明な点等があれば、気軽にお声掛けください。