就業規則を何年も見直していない職場で起きていること

この記事の要点

  • 労働関係の法律は毎年のように改正されており、古い就業規則は法律と食い違うことがある
  • 問題が表に出るのは、職員との関係がこじれたとき
  • 法改正と実態のずれを中心に、年に一度の点検を習慣にする

「就業規則は、開業したときに作ったきりです」

顧問先の経営者の方とお話しすると、こうした声をよく伺います。届け出は済ませた。大きなトラブルも起きていない。日々の業務に追われる中で、就業規則の見直しが後回しになるのは無理もないことです。

しかし、見直されていない就業規則は、知らないうちに職場のリスクになっていることがあります。

就業規則の点検サイクル就業規則の点検サイクル1最終改定日を確認2法改正との照合3実態とのずれを確認4改定・届出・周知
就業規則の点検サイクル:最終改定日を確認/法改正との照合/実態とのずれを確認/改定・届出・周知

法律は、毎年のように変わっています

労働に関する法律は、ここ数年だけでも、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得義務、パワーハラスメント防止措置の義務化、育児・介護休業制度の見直しなど、大きな改正が続いています。2026年10月には、カスタマーハラスメントの防止措置も事業主の義務になりました。

就業規則が古いままだと、法律と食い違う規定が残っていたり、本来定めておくべき制度が抜けていたりします。その状態でトラブルが起きると、「規則に書いていない」ことが、職場にとって不利に働くことがあるのです。なお、規則に書いていなくても、法律で定められた職員の権利がなくなるわけではありません。

古い就業規則で起きやすいこと

  • 休暇や休業の規定が、今の法律の内容になっていない
  • 実際の勤務時間や手当と、規則の内容が違っている
  • 職員から問い合わせを受けても、規則を根拠に説明できない
  • 問題が起きたとき、懲戒の根拠となる規定が見当たらない

どれも、平時には気づきにくいものです。そして、問題が表に出るのは、たいてい職員との関係がこじれたときです。

見直しは「全部作り直す」必要はありません

就業規則の見直しというと、大がかりな作業を思い浮かべる方もいらっしゃいます。しかし、多くの場合は、法改正に関わる部分と、実態とずれている部分を中心に手を入れれば十分です。ただし、関連する規程との整合や、運用・周知もあわせて確認します。

私は医療機関で人事を担当していたころ、法改正のたびに規程を見直し、不備があれば補うことを続けてきました。定期的に点検する習慣があれば、一度に大きな手直しをする必要はなくなります。

就業規則は、職場を守る書類であると同時に、職員に安心を届けるためのものです。年に一度、健康診断のように点検する。それくらいの気持ちで向き合うのがよいと考えています。

荒井社会保険労務士事務所では、就業規則を長く見直していないことに不安をお持ちの方に、法改正と職場の実態をふまえた就業規則の点検と改定を提供し、その不安を取り除くお手伝いをしています。

今日からできること

お手元の就業規則の最終改定日を確認してみてください。数年前のままであれば、それが見直しの合図です。

よくある質問

Q. 就業規則はどのくらいの頻度で見直せばよいですか?

A. 法改正の多い分野ですので、年に一度は点検することをおすすめします。法改正があった際には、その都度関係する部分を確認します。

Q. 見直しは全部作り直す必要がありますか?

A. 多くの場合、法改正に関わる部分と、実態とずれている部分を中心に手を入れれば十分です。あわせて関連規程との整合や職員への周知も確認します。

この記事を書いた人

荒井 紀洋(あらい のりひろ) 社会保険労務士・採用定着士

荒井社会保険労務士事務所 代表。医療機関で約12年間、人事・労務を担当し、人事・経理課長、事務長、事務局長を務める。2020年に事務所を開業し、医療・介護・中小企業を中心に、労務管理、人事制度、組織づくり、採用・定着の支援を全国で行っている。

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