この記事の要点
- 懲戒処分は手順を誤ると職場が不利になる、慎重さが必要な場面
- 規則の根拠と周知、事実確認、弁明の機会、相当性、公平性を確認する
- 処分に至るまでの丁寧な指導と記録が職場を守る
「もう我慢の限界です。処分してもよいでしょうか」
職員の問題行動が続き、経営者の方からこうしたご相談をいただくことがあります。何度注意しても改まらない。周りの職員にも影響が出ている。処分を考えたくなるお気持ちは、よく分かります。
ただ、懲戒処分は、手順を誤ると職場の側が不利な立場に置かれかねない、慎重さが求められる場面です。感情のままに進める前に、いくつか確認しておきたいことがあります。
処分の前に確かめる5つの点
- 就業規則に根拠があるか 懲戒の種類と、どのような場合に処分するかが就業規則に定められ、職員に周知されている必要があります
- 事実を確認できているか いつ、どこで、何があったのかを、関係者の話や記録で確かめます
- 本人の言い分を聞いたか 処分の前に、本人に弁明の機会を設けることが大切です
- 処分の重さは釣り合っているか 行為の内容や程度、これまでの経緯に照らして、重すぎないかを検討します
- 過去の扱いと比べて公平か 同じような行為に対して、以前はどう対応したかも確認します
懲戒処分には、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められます。これらの確認が不十分だと、後から処分が無効と判断されるおそれがあります。なお、暴力などの重大な事案では、指導の積み重ねを待たず、まず職員の安全の確保を優先します。
処分の前に、指導の記録があるか
実務で特に大切なのは、処分に至るまでの指導の経過です。いつ、どのような注意をし、本人がどう応じたのか。口頭の注意だけで記録が残っていないと、「何度も注意した」という事実を示すことが難しくなります。
私は医療機関で、勤怠不良や業務指示に従わない職員への対応、聞き取り調査や処分の判断基準の提示などに携わってきました。その経験から言えるのは、処分そのものよりも、そこに至るまでの丁寧な指導と記録が、職場を守るということです。
処分は、感情的な報復のためのものではありません
懲戒処分は、職場の秩序を維持するための制裁です。本人に大きな不利益を与えるからこそ、感情ではなく、職場の秩序を守り、他の職員が安心して働ける環境を保つという目的に照らして判断することが大切です。その目的を忘れずに、手順を踏んで進めることが、結果として本人にも周りの職員にも納得してもらえる対応につながります。
荒井社会保険労務士事務所では、改善を要する行動が続く職員への処分をどう進めるべきか迷っているという不安をお持ちの方に、事実確認から処分の判断、手続きまでの助言を提供し、その不安を取り除くお手伝いをしています。
今日からできること
処分を考えている職員がいるなら、まず「これまでの指導の日付と内容」を時系列で書き出してみてください。
よくある質問
Q. 何度か注意しないと懲戒処分はできませんか?
A. 改善の指導を重ねることは大切ですが、暴力などの重大な事案では、指導の積み重ねを待たずに職員の安全確保を優先します。
Q. 弁明の機会は必ず設けるべきですか?
A. 処分の前に本人の言い分を聞くことは、公正な判断のために大切です。就業規則で手続きを定めている場合は、その手続きに沿って進めます。
人と組織のお悩み、荒井にご相談ください
就業規則、労働時間、ハラスメント対策、人事評価、組織づくりなど、職場の実情に合わせて一緒に考えます。オンラインで全国対応しています。
相談内容がまだまとまっていない方
依頼したい内容が決まっている方




