出生時育児休業中に就労するときの5つの注意点とは?

育児休業を取得したいけど、キャリアに影響が出るのでは?職場の理解が得られるか心配…”そんなあなたに朗報です。

2022年10月の法改正により、「産後パパ育休(出生時育児休業)」という画期的な制度が新たに導入されました。
これにより、男性が育児休業を取得しやすくなり、仕事と家庭を両立することが可能になりました。

休業中でも一定の条件で就労が可能になり、育児の初期段階でパパが積極的に関わりやすくなったのです。育児と仕事、両方を経験することが可能となったこの制度を利用すれば、キャリアにも家庭にもプラスとなること間違いありません!

ただし、この制度を上手く活用するためには5つの注意点があります。それぞれについて理解し、制度を最大限に活用するための手引きとして一つずつ見ていきましょう。

産後パパ育休(出生時育児休業)中に就労できる日数は決まっている

「産後パパ育休(出生時育児休業)」を利用しながら仕事をすることもできますが、働ける時間や日数には制限があります。

産後パパ育休(出生時育児休業)中に就労できるのは、所定労働日数(働くことが決められた日)・所定労働時間(一日に働くことが決められた時間)の半分まで

また、産後パパ育休(出生時育児休業)の開始日や終了予定日に就業する場合は、それらの日の就労可能時間は、所定労働時間数よりも少なくする必要があります。

たとえば、所定労働時間が1日8時間、1週間の所定労働時間が5日の従業員が、2週間の産後パパ育休(出生時育児休業)を取得する場合、
所定労働日数10日(5日×2(週間分))、休業期間中の所定労働時間80時間(8時間×10日(所定労働日数分))

半分となるので、
産後パパ育休(出生時育児休業)中の就業上限は5日、就業時間上限は40時間、休業開始日と終了予定日の就業は8時間未満
となります。

休業開始日 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 ・・・ 13日目 休業終了日
4時間 8時間 4時間 4時間 5時間

雇用保険の出生時育児休業給付に、育児休業中の就労日数が影響する


「産後パパ育休(出生時育児休業)」の間にも一部働くことができますが、雇用保険の給付を受けるためには働く日数には制限があります。

具体的には、1か月に働く日数は最大10日(もしくは80時間)までです。これを超えてしまうと、雇用保険からの給付を受けられなくなってしまいます。

さらに、「産後パパ育休(出生時育児休業)」の期間に働いた分の給与が支払われる場合、その給与の額によって雇用保険からもらえる給付金の額が変わります。給与の額が多ければ多いほど、給付金の額は少なくなります。

支払われた給与額 給付額の調整
休業開始時賃金日額 × 支給日数 ÷ 13%以下 全額支給
休業開始時賃金日額 × 支給日数 ÷ 13%超~80%未満 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 80% - 給与額
休業開始時賃金日額 × 支給日数 ÷ 80%以上 給付金の支給なし

ですので、産後パパ育休(出生時育児休業)中の就労については、計画的に行う必要があります。

出生時育児休業を受ける要件については、以下をご参照ください。
出生時育児休業給付の支給要件と内容(厚生労働省)

雇用保険料、健康保険・厚生年金料の免除に育児休業中の就労日数が影響する

産後パパ育休(出生時育児休業)中も通常の育児休業と同様に、特定の条件下で社会保険料が免除されます。

たとえば、同じ月内で育児休業を始めて終える場合でも、その期間が連続で2週間以上あれば社会保険料が免除されます。ただし、この2週間というのは実質の休業日数で、働いている日はカウントされません

つまり、社会保険料の免除が適用されるのは、実際に働かない日が2週間以上ある場合というわけです。

賞与についての社会保険料の免除はできる?

休業期間が1ヶ月を超える場合に、賞与についての社会保険料の免除を受けられます。

ですので、産後パパ育休(出生時育児休業)中に支払われる賞与の社会保険料を免除されるには、産後パパ育休(出生時育児休業)のあと通常の育児休業をつづけて取得する必要があります。

両立支援等助成金の出生時両立支援コースの支給要件に育児休業中の就労が影響する

両立支援等助成金の出生時両立支援コースは、男性従業員が自分の子どもが生まれてから8週間以内に、連続した5日以上の育児休暇を取得する場合に受け取れる助成金です。

この助成金を受けるには、取得する産後パパ育休(出生時育児休業)期間に所定労働日(通常の働く日)が4日以上含まれていることが必要です。

つまり、この助成金を受けるためには、産後パパ育休(出生時育児休業)期間は週末や祝日だけでなく、平日(通常の働く日)も含む必要があります。
男性従業員が働く時間を減らし、子育てにしっかり参加するための時間を確保するための制度だからです。

両立支援等助成金の育児休業等支援コースの支給要件に育児休業中の就労が影響する?

出生時育児休業が終わった後、通常の育児休業を取得することも可能です。
また、出生時育児休業を取得せず、最初から通常の育児休業の取得も可能です。

この通常の育児休業に対しても、両立支援等助成金の育児休業等支援コースという助成金を受けることが可能です。
この場合、連続3か月以上の育児休業を取得させることが必要になってきます。

ただし、両立支援等助成金の出生時両立支援コースと育児休業等支援コースの育休取得時という助成金は、同じ理由による併給は不可となっていて、どちらか一方のみの支給となります。

育児休業中もたびたび出社する必要がある場合で、連続3か月以上も休みを取ることが難しい場合は、「出生時両立支援コース」がおすすめです。

一方、連続3か月以上の休業を取得できる見込みがあり、子育てにしっかり関わりたい場合は、育児休業等支援コースの「育休取得時」が良いでしょう。

それぞれの助成金の額を以下の表にまとめました。

出生時両立支援コース 育児休業等支援コース
支給額    20万円
代替支援加算 20万円
情報公開加算  2万円
〇育休取得時:30万円
〇職場復帰時:30万円
併給は不可

まとめ

「産後パパ育休」制度により、男性も育児休業を取りやすくなりました。
休業中は一定の条件で働くことができ、育児と仕事を両立できます。

ただし、働ける時間や日数には制限があり、給付金の額は働いた時間によって変わります。
また、社会保険料の免除にも休業中の就労により適用とならない場合があります。
さらに、助成金を受けることも可能ですが、休業期間や就労日数の条件があること、2つの助成金の同時受給はできないことに留意が必要です。

「うちの場合はどうなの?」
「結局、どのくらい働かせても大丈夫なの?」
と、心配そうなお声をよく耳にします。様々な制度が関わりますので、当然です。


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